業(カルマ)とは、「自分で起こした行為は必ず自分に返る」という、「因果応報」のことです。前世の業を現世で解消していくにはどのようにすれば良いのか、今回ご紹介しましょう。
仏教には、「輪廻転生」という考え方があります。魂は永遠であり、人は死ぬとまた生まれ変わると考えられています。生まれては死に、また生まれては死に…これを繰り返しているのです。
業(カルマ)とは、前世の行ないにより現世で生きている自分の環境に影響を与えるという考え方です。現世に生まれる前の自分のことですから、記憶がないのは当たり前なのですが、その時に起こしたことの贖罪を、現世で行なわなければならないのです。ですから、人は前世の業があるからこそ、やり直しを命じられ生まれ変わったとも考えられるのです。例えば、前世で人を傷つけてしまった人は、現世で今度は自分が同じ思いをすることで埋め合わせをさせられるということなのです。しかし、業は悪いことばかりではありません。善いことも業として残ります。ですから、過去の「負」の業の借金を払いつつ、「正」の業を貯めていくことが大切なのです。
では、前世の「負」の業を解消していくにはどのようにすれば良いのでしょう。 仏教では、六波羅蜜行がそれであると説かれています。六波羅蜜行をわかりやすくいうと、以下の通りになります。
- 困っている者にお布施する(寄付・義援金など)
- 社会のルールを守り、悪いことや悪い考えを起こさないようにする
- 善い行ないを偽善だと中傷されても、寛容に耐え忍び、行ない続ける
- 目標を持って、仕事などに真摯に取り組む
- 常に落ち着いた心を持ち、物事を冷静に判断する
- 常に勉強し、知恵を備え、愚痴らず、怒らない
簡単そうに見えて、これをすべて実行するのはなかなか難しいです。しかし、これをバランスよく行なうことで、過去の業は少しずつ解消されていくのです。
この六波羅蜜行の他にも、業を解消するために行なった方が良いものがあります。それが陰徳です。陰徳とは、日頃から善い行ないを心がけること。それも、人から言われて行なうのではなく、たとえ誰の目にも止まらなくても、そっと善い行ないを続けることが大切です。陰徳を日々行なっていくことで、「正」の業が積み重なっていくのです。六波羅蜜行を行ないながら陰徳を積んで行く、これが、「負」の業を解消する最も効果的な方法なのです。